ほやの苦手意識をなくすアプローチとは?
今回ご紹介したいのは「ほや」の加工品2種です。宮城県内の取材で見つけたものですが、別名“海のパイナップル”とも呼ばれる「ほや」、見た目のグロテスクさもあって、何となく敬遠してきた食材です。殻を剥くのが面倒だったり、鮮度が悪いものになると、独特の風味、リン臭の後味が強くあり、好き嫌いがあまりない私でも、正直なところあまり得意ではありません。
特に日本酒党の方には酒の肴に「ほや」は最高!大好物という方も多いですね。最初に食べてみようと思った人はすごいなと感心します。
さて、最初からネガティブなことを書いてしまいましたが、その「ほや」の持つクセを、どう解決して、軽くするか?食べやすくするか?が、商品開発担当者のアイデアの出しどころだと思います。そんなところが考えられた「なるほど、これならイケるかも!」という商品が、まさに今回ご紹介する水月堂の2品でした。
宮城の海産物加工老舗企業『水月堂』がプロデュース
鼻腔をくすぐる濃厚な「ほや」の香りに、酒蒸し+赤唐辛子でさっぱりピリ辛な味付け。冷蔵のままパックからお皿に取り分けてそのまま楽しむことができます。
肉厚で食べ応えも抜群、細かく刻まれた赤唐辛子の刺激がほのかに味わいに絡み、「ほや」特有のクセとの味覚バランスがいい感じに再調整された印象。これなら気楽にするっと食べられて、なかなか美味しいです!
もう一つは、発酵食品のチーズを大胆に合わせる角度のあるアイデアで。晩酌のアテにちょうど良い6〜7切れの分量がとろけるチーズと共に真空パックされており、パックのまま電子レンジに放り込み500Wで60秒加熱。パックにも注意書きがありますが、30秒ほどでパックの一辺がポン!と開き、一気にチーズがジュワーっ!と音を立てて溶け出していきます。再加熱されて高温になったチーズで軽く煮こまれて全体に絡みつくことで、「ほや」の苦手な風味も遠のき、柔らかく丁寧に煮こまれた上質なホルモンのような食感を楽しめます。これは、ビールやワインに合う洋風のおつまみとしてオススメです。
こちらの「チーズほや」は、第41回宮城県水産加工品品評会で、宮城県水産加工業協同組合連合会長賞を受賞している商品でもあります。
このユニークな商品を販売する水月堂物産株式会社は、創業昭和37年の海産物加工を手掛ける、石巻の老舗企業。東日本大震災では本社加工工場が甚大な被害を受けましたが、社員一丸で宮城発の自慢の海産物を国内から世界へ拡げるべく頑張っておられます。
東北の復興に向けてコツコツと実直に頑張る姿、ぜひとも食べて応援したいですね!
酒蒸しほや、チーズほや
※掲載情報は 2017/05/28 時点のものとなります。