ブログ・レポート

ヤムヤムコラム〜 共感をよびこむ

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大勢の人でにぎわうフェスの目抜き通り 

「じゃあ、またね。」
「うん、また!」

こうしたやりとりを幾度もくりかえす。

先週の土日(5月16日~17日)、タイ・フェスティバル2015
今年も代々木公園で開催された。
我らがYum! Yam! SOUL SOUP KITCHEN(以下ヤムヤム)もブースを出展し、
タイビールを片手にヤムヤムの活動展開や、これまでの活動に関連した
タイに繋がる品々を販売しながら、訪れる人とのひとときを楽しんだ。

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ヤムヤムの活動説明をする西田代表理事

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タイ在日大使館、パカワット・タンサクン次席公使(写真中央)にヤムヤムの活動説明をする様子

日ごろからヤムヤムの活動を支援して下さっている方々はもちろん、
ふらりと遊びに来る方が皆それぞれ、タイに関わった生き方をされている。

30年来、里親として北部タイの山間部に暮らす少数民族の子供を
何人も支援しているご夫婦。
息子がタイ語の勉強を大学で始めたばかりだからと、
タイ語指さしTシャツを買ってゆくお父さん。

買ったついでに話をしたのか、話をしたついでに買ったのか、
わからなくなるほど、ブースの中は運営スタッフと次々訪れるたくさんの
人たちとの交流の場となった。
タイを愛する者が集うタイフェスだからこそ出会い、
話をすることができた人々もいる。

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ヤムヤムの新作ロゴTシャツ 

彼らのタイにまつわるエピソードは、一スタッフという身分を超え、
一人のタイ好きとして食い入るように聞きたくなるものばかりであった。
こちらもまた、ヤムヤムが何をしているどういう団体なのかを
理解してもらえるよう、一生懸命に伝える。

そこにはお互いの経験や語りに深く興味を抱き、共感しあう場が形成されている。
こうして話を続けるうち、なかには、いま話をしている相手が実は筆者が
かつて知り合った友人の知己であることがわかり、
世界は狭いものだと感慨をおぼえることもある。

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さながらタイの市場のようなタイフェス2日目の夜の様子

別れ際、「ありがとう。」の言葉のあとに、ついつい「またね。」と言ってしまう。
しかしヤムヤムに関わって活動を続けるうち、また会えるのではないかと思えてくる。

ヤムヤムがタイフェスでのNPO枠での出展を始めてから今年で3年目になるが、
物販の売れ行き、お客様の反応ともに今までで一番良かった。
ヤムヤムの活動の拡がりと共に、盛り上がりを実感している。
来年のタイフェスが、今から楽しみで仕方がない。

運営事務局 斎藤俊介

ヤムヤムコラム〜 仏舎利講

 お釈迦様の遺骨を仏舎利というが、これを納めたプラ・タート(仏舎利塔)という名前が
冠された寺院は、タイの至る所に存在する。

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タイ仏教寺院内の仏像。左側後方にみえるのがプラ・タート(仏舎利塔)。
チェンマイ県、ドイ・ステープ寺 


 お釈迦様と混同しがちな仏陀(ブッダ)という語は、単なる一般名詞であって、同義ではない。
お釈迦様は今から2500年もの昔、シャカ族という民族がつくった国で生を受けた王子ゴータマ・
シッタールタその人を指す。

 一方「ブッダ」は、ごく簡単に説明すると、いくつもある修行の段階を極め、全ての煩悩から
はなれることのできた、すなわち悟りを開いた者をいう。ゆえにゴータマ・シッタールタは最初
からブッダであったわけではなく、いくつもの長い紆余曲折を経た末に、悟りを開いた者
(ブッダ)となった。その後、歴史上ブッダは何人も存在しているし、現代の我々にとっても、
可能性としては誰しもがブッダになれる素質を秘めている。

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タイにある、世界一大きいとされる仏塔。
ナコンパトム県、プラ・パトム・ジェーディー

 仏教信仰の一つに「本生譚(別称:ジャータカ)」というものがある。お釈迦様が、何百回も
輪廻転生を繰り返し、果てにようやく悟りを得てブッダとなる資格を持ったゴータマ・シッター
ルタとして生まれるまでの物語である。お釈迦様の前世譚ともいえよう。物語によると、彼は
様々な身分出自の人物や、はたまた動物に生まれ変わっていることもある。タイでこの「本生譚」
は仏教の教えを分かりやすく説くものとして、広く親しまれている。なかには地方の方言で
編まれたご当地版「本生譚」もあるぐらいだ。こうした信仰からは、絶対的で全く誤謬がない神
とは異なった、どこか人間的で、親しみやすいお釈迦様のイメージがうかがえる。仏教は唯一
絶対的な神をたてない「無神教」ともいわれ、どちらかというと生き方の指南書に近いものがある。
生身の体で修行にはげみ、努力の末に悟りを開いたお釈迦様は、今でも民衆の間ではヒーローで
あり続ける存在だといえよう。

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沐浴する象。タイ仏教では象は神聖視され、特に白象は仏教の使者とされる。
カンチャナブリー県

 話は仏舎利に戻るが、お釈迦様の納骨堂でもある仏舎利塔の建立起源にはいくつかの説がある。
お釈迦様の死後、弟子たちが遺骨を白象の背に乗せ世界中に旅立ち、行く先々で現在も残る
仏舎利塔を建立したという説。お釈迦様が実際に伝来したという説。あるいはお釈迦様が来訪
した祭に、全長何フィートにもおよぶ足跡を残したとされる場所もある。仏舎利塔はお釈迦様の
故地である(そして2500年前において現実的な移動圏内である)、ネパール・北インド地域を
はるか遠く越え、タイや他の仏教国、果てには日本にも点在する。世界中全ての仏舎利塔に
納められている遺骨を組み合わせると、巨大なお釈迦様が出来上がるそうだ。
世界中にある伝来説や仏舎利塔の多さ、お釈迦様のイメージ上の巨躯は虚栄や虚偽を表している
のではない。むしろ、「本生譚」信仰にあるように誰もが親しみやすさをおぼえる人間くさい
一面をもち、その一方で人の生き方を説き、万人が考える理想的なヒーロー像を体現したことに
対する、人々の期待、憧れの大きさを表しているのではないだろうか。

運営事務局・ボランティアスタッフ 斎藤俊介

ヤムヤムコラム〜 生産者と消費者を「つなぐ」

 タイの農業事情を語る時によく引き合いに出される、こんなジョークがある。

とある少数民族の村で、大量の農薬投下によってキャベツを栽培している男性がいた。
見かねたある人物が「そんなに農薬を使って大丈夫かい?」と訊ねたところこう答えた。
「全く問題ないさ。自分で食べる訳じゃないから」。

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低農薬栽培による農作物を販売する店(タイ・チェンマイ県、チェンマイ大学内)


 このジョークからはタイの一部地域における農業の現状が垣間見える。
タイでは農家という職業は、その大体が儲からない。
中でも一部の人々は生活の糧を得るために、生育途中で虫に喰われることのない、
市場に出して売れる状態の作物をどんな手段を使ってでもつくろうとする。
結果、大量農薬投下に頼ってしまう。
1年ほど前には、タイの市場で海鮮品が腐るのを防ぐため、それらの商品にホルマリンを
散布したうえで販売されていたことが発覚し、ニュースで大きな波紋を呼んだ。

 タイで食の安全が叫ばれるようになってから久しい。例えば北の都チェンマイでは
定期的にオーガニック市場が開催されている。こうした「安全」な農産物の一大消費地が、
中間層および新中間層と呼ばれる、相対的に裕福な人々が多く住む都市部である。
彼らの間で無農薬・低農薬の有機栽培への関心は高まりつつある。しかし、たとえ政府が
奨励したくとも、収入に直結する収量の不安定さから、農家全体の経済力が底上げされない
以上はなかなかそこへシフトできないというのが現状であろう。

 翻って日本の状況を見てみると、やはりタイと似たように、高価格・高品質の「安全」な
農産物を買い求める潮流がみられて久しい。こうした農産物を志向する消費者層は、ただ購入
するだけではなく、どこの農家がつくっているのか、といった情報も求める。
今やどこのスーパーに行っても、生産地の表記はもちろんのこと、契約農家の名前や顔写真も
だして、「安全」を売る光景が当たり前となっている。

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事前取材の様子。眼前には広大な圃場がみえる 

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イベントで農業への想いを語る農家さん 

 私ががボランティアスタッフとして参加している「YUM! YAM! SOUL SOUP KITCHEN」
(以下、ヤムヤム)も、こうした流れに乗じて市場に食い込んでいるのは確かだと思う。
しかしながら、さらにそこから一歩進んだ展開も見せている。
それは消費者と生産者を「つなぐ」意識の高さにある。

 毎回のイベントでは、必ず現地農家・官庁への事前取材を行い、それぞれの地方の
アピールポイントを綿密に研究する。イベント当日は食材を提供した農家や県自治体関係者を
招待し、彼らに農作物への思いを直接語ってもらう。
そして、どんな食材がどの料理に、どんなふうに使われているのかをヤムヤムでは
丁寧に説明する。食材がおいしいことはもちろんである。
いや、これだけの「手間」をかけた人の「想い」があるからこそ、おいしいのではないだろうか。

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イベント内で毎回紹介するご当地食材の試食の様子

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旬のこだわり食材をふんだんに使ったオリジナルタイ料理が多数並ぶ

 生産者の「想い」、当日まで身を粉にして準備をするスタッフの「想い」。
こういった「スパイス」が加わった極上のタイ料理が味わえるヤムヤムの活動を、
ボランティアスタッフとして応援し、活動を国内外へ広く伝えていきたいと思う。

運営事務局・ボランティアスタッフ 斎藤俊介

ヤムヤムコラム〜 「エスニック」を消費する

「エスニック」という言葉を聞いたとき、思い浮かべるのはどんなイメージだろう。

大抵の場合はどこか知らない異国の、風変わりな衣服を身にまとっている人の姿や、
「こんなの絶対日本にはない!」と思うような、でもおいしい、スパイスやハーブが効いた
異国情緒あふれる料理を想像するだろう。

私が以前よりボランティア参加をしているNPO法人YUM! YAM! SOUL SOUP KITCHEN
(ヤムヤムソウルスープキッチン、以下ヤムヤム)も、
いわゆる「エスニック」なものに数えられる、タイ料理をキーワードに独自のコンセプトで
精力的に活動を進めてきた。

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コンテスト出展全レシピの写真

 さる2015年4月19日、タイ料理の代表格であるグリーンカレーを使った郷土料理レシピコンテスト
が開催された。
今回のイベントを通して、ヤムヤムが志向する地方活性化支援のあり方がより輪郭を帯びて見えて
きたように思う。北は北海道から南は九州まで、全応募35レシピ中、みごとに一次審査を勝ち
抜いた全9レシピのご当地グリーンカレーが振る舞われ、さながら郷土料理博覧会のようである。
例えば北海道の石狩鍋や山梨県のほうとうといった有名なご当地料理が、一堂に会していた。
しかし、そのどれもがグリーンカレーと地方の伝統的な郷土料理とを組み合わせている。
外部の「エスニック」な要素を取り入れることで、元々ある料理、食材の魅力を再発見する
その現場に居合わせたことは、感慨深いものがあった。

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山梨名物「ほうとう」の麺にからめるグリーンカレー

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コンテスト審査投票の風景

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イベントスタッフの集合写真

イベント終了後、人気投票で上位を飾った、プロの料理家でもある出展レシピの考案者が
私に語ってくれた。

「郷土料理っていうのはね、外国の人には説明しづらいものなんだよ。でも、(グリーン
カレーみたいに)あなたの国の食材でも作れるよってところを説明すると、相手もよく
分かってくれるし、興味も持ってくれるんだ」

彼の言葉には、今後の地方活性化事業を考えるうえのヒントが含まれているように
思えてならない。つまり、「おらが国」の文化遺産や歴史、主要産業を深化させていく
かたちで、「ここだけでしか見られない/味わえない」という観光・地域活性化事業上の
独自色を打ち出すでもなく(~~の名所、~~生産量日本一!などの謳い文句がそれである)、
単純に海外誘致を意識した、国際交流の活発化にシフトしていくわけでもない。
こうしたやり方は差異化が難しいほどにあらゆる自治体で行われ、飽和状態に陥っている
とも思える。それは異国のいわば「異質」なエスニック的要素を、郷土文化に取り込んで
ゆくことで、国内自治体に対しては明確な差異化と価値の再評価を、海外市場に対しては
分かりやすいコンテンツと共感を得る、新たな試みである。

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ヤムヤムソウルスープキッチン代表理事の西田誠治氏

ヤムヤムはこれまでの活動の中で、「地方の再発見」を幾度となく強調してきた。
理念にあるのは、しばしば都会に住む人にはなじみがない地方の食文化に、これまた多くの人々が
知らないタイの「エスニック」な食文化をとりこむことで、日本中にある似通った地方活性化の
潮流には埋もれない、強い独自色を出すことであった。
都会に住む人々は、「旧きよきニッポン」の郷愁漂う地方の郷土料理に、
異国の「エスニック」なものをみるまなざしを重ね合わせているのだろうか。

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ヤムヤムの団体シンボルマーク

昨今、世界無形文化遺産に登録された「日本食」という代表的な日本文化と、片や広く人口に膾炙
しているエスニック料理としてのタイの食文化。
二つの異なるベクトルをつなぐヤムヤムは、他とは一線を画す。
この独自の活動に参加しながらその動向に注目していきたいと思う。

運営事務局・ボランティアスタッフ 斎藤俊介

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